展示会などのイベント主催者にはどんな責任がある?
展示会開催当日は、不特定多数の人間が展示場というひとつの空間に集まります。多くの人が集まるということは、イコール不測の事態が起きる危険性が高まるということです。見本市やBtoB商談会など一見危険と無関係の展示会でさえも、熱中症や食中毒、盗難、来場客や関係者の病気・ケガなど、思わぬトラブルが起きる可能性があります。展示会の主催者は、会場内のことに対してどこまで責任を負うのか、しっかり認識して対応することが重要です。
イベント主催者が負う責任とは
展示会などイベントの主催者には、「安全配慮義務」があります。一般的に「安全配慮義務」とは、企業が従業員に対して、安全・健康に働けるように配慮する義務のことをいいます。従来「安全配慮義務」は、雇用関係のある者に課せられる義務でした。
ところが平成7年、ホテルの宿泊者が死亡した件で、裁判所がホテルの「安全配慮義務違反」を認めたことから、「安全配慮義務」を負う責任対象が広がりました。
つまり展示会の会場は仮設会場ですから、会期中現場での安全管理・避難誘導・傷病者対応など、出展社と来場者の安全を守ることなどは、営業行為に含まれます。展示物の不備等が原因で参加者が怪我をしたり、財産に危害が及んだりといった事故が起きた場合、「安全配慮義務違反」で主催者側が損害賠償責任を負う可能性があるのです。
事前に決めておくべきこと
大勢の人が集まる展示会で不測の事態がどのように起こるかは、はかり知れないものがあります。それでも、主催者としてできる限りのチェックと対応を想定しなければなりません。海外からの来場者が増加することも考えると、展示会での安全配慮は今度ますます重要になります。具体的なポイントには、以下のようなことが考えられます。
- 会場設営に於ける危険個所のチェック
- 設営・準備作業中の事故対策
- 火災時災害時を念頭においた動線計画のチェック
- 参加者の転倒事故や熱中症を防ぐ安全対策
- 飲食提供における食中毒やアレルギー対策
- 会場内の盗難・強盗対策
- 来場者や関係者による会場設備の破損
- ハッキングによる顧客情報の流出対策
- 暴力団やテロ組織による被害対策 etc.
いくら入念にチェックしていても、不測の事態は起こる可能があります。チェックや対策を講じると同時に、来場者や出展者に向けてあらかじめ参加規約などで責任の範囲を明確にしておくことも必要です。
イベント主催者向けの保険
展示会の開催者は、事前にイベント主催者向け保険に加入します。一時保険は高額ですが、保険でカバーできる補償を考えたら、加入は必須です。
イベント保険
イベントや展示会などに関係して発生する事故等による損害を賠償する保険の総称です。補償する内容別にさまざまな保険があるので、展示会の性質に合ったものを選んでください。
- 施設賠償責任保険 大画面ビジョンなど、高額機器を補償するもの
- 請負賠償責任保険 設営工事の請負賠償をフォロー
- 普通損害賠償保険 広範囲に事故や物損を補償
- 盗難保険 金品や貴重品の盗難に備えるもの
- 興業中止保険 高額チケットのセミナーが中止になったときなどの補償
展示会は、多くの企業にビジネスチャンスを与える場ですが、と同時に不特定多数が集まる場所でもあります。主催者は、参加企業や来場者が安全にイベントに参加できるように安全配慮を怠らず、展示会イベントを成功させることを目指してください。