展示会を開くために必要な費用は? 出展料の目安
日本国内では、年間に500~700本ほどの大型展示会が開催されています。小規模なものも含めれば、さらに大きな数になるでしょう。展示会の開催者は、民間展示会主催者、工業会系主催者、マスコミ、展示会場兼主催者、都道府県・政府機関など多様で開催規模も大小さまざまです。展示会を開くための費用は分かりにくい面があると思いますが、今回は必要となる費用項目から概算して解説します。
展示会の出展に必要な費用項目
展示会を主催する際に必要となってくる費用の項目をあげ、概算予算を考えてみます。
会場費
多企業が参加する展示会の場合、小規模でも1,000平方メートルの会場が一般的です。そのレンタル費に加え、会場設営費がかかってきます。装飾内容によって金額が変わりますが、会場のレイアウト設計施工費も、費用負担が大きい費目です。
出展促進費
出展者企業を増やすための広告(出展案内パンフレットやマニュアルなど)や出展説明会にかかる費用も必要です。通常の展示会では、コスト割合の大きい費目になります。企業に関連する団体からアプローチすることで、出展説明会など出展促進プロモーションにかかる費用が軽減できることもあります。
広告宣伝費
来場者を増やすための広告(ポスター、パンフレット、DMなど)、メディア出稿などにかかる費用です。近年はSNSやホームページサイトを利用して、低コストで展開できる広告宣伝手法も増えてきました。
制作費
来場者用パンフレット、ノベルティグッズ、それらの運搬費などがかかります。BtoB+C型の展示会の場合は来場予測数も多くなり、それにつれてノベルティ費用も多額になりがちです。
人件費
会場設営のスタッフ人件費、警備・運営(受付)スタッフ人件費など。ステージを使うイベントを行う場合は、イベント用のMCやアシスタントスタッフの人件費もかかります。地方で展示会を開催し、現地の技術系スタッフが集まらない場合、出張料金が高額になることもあります。
出展料の考え方
出展料は、出展企業の募集数に関わってくる問題なので、主催側としては悩ましいかもしれませんが、これも機械的に決めることができます。まずは、会場となる展示会場の床面積で展示可能な小間数を計算、概算ですべての経費を出し、その数値を展示可能な小間数で割ります。小間の規格は通常3.3m×3.3mの9平方メートルですが、会場の有効面積を基準サイズで統一するのが難しい場合は、1.8m×1.8mや、1.8m×0.9mといったコンパクトブースを設けることもできます。展示商材が書籍やパンフレットの出展社なら、コンパクトブースを有効活用する展示が可能です。
[出展料の設定例]
会期:3日間 準備:1年間
出展社数:30、出展小間数:30
概算経費 3,900千円 の場合
① 総経費÷総小間数
会場費をのぞく総経費を受益者負担として余剰金を出さない場合
出展料は@130,000 円(税別)
② (総経費+余剰金)÷総小間数
会場費や運営費の補てん分を展示会開催費用から出す場合
運営費の補てん分を900千円と仮定すると仮定
出展料は@160,000 円(税別)
開催の費用対効果をはかる方法
現在展示会は、「PRや認知訴求」のための場から「リード獲得」または「商談型」へシフトしつつあり、展示会開催の費用対効果が問われるようになってきています。次の出展募集に役立てるためにも、開催の費用対効果を把握しておいてください。
基本的な成否の判断方法
基本的には、総収入(出展料収入やその他収益を足した金額)から総支出(費用項目すべて足した金額)を引いた数字が黒字になっているかどうかが判断材料となります。
その他の効果をはかる方法
展示会開催の効果は、定量的な方法だけでは測りきれない部分があります。一時的に損益が出ることになっても、先で大きなビジネスになるとしたら先行投資と考えられるからです。
こうした展示会の投資的効果を考える場合は、「投資効果」(ROI:Return OnInvestment)を算出します。
「投資効果」(ROI:Return OnInvestment)の算出法
展示会開催時の目標と、「その目標を達成するためにかけた全費用」を計算し、投資効果の有無をはかります。例えば、来場者数に対するROI(総投資額/総来場者数)などがそれにあたります。
目標達成で得る利益が数値で表せない質的効果(展示会の知名度と存在感の向上など)である場合は、金銭換算に置き換えて考える場合もあります。きちんと費用対効果測定を行い、次の展示会開催に役立ててください。